タンデムビームによるアルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼のフラックスレス・レーザブレイジング

自動車を軽量化するために、アルミニウムの利用が注目されています。そのためには自動車の主要構成材料の鉄鋼とアルミニウムの接合技術が必要不可欠ですが、これらの異材接合においては、従来の溶融溶接法では接合部に脆弱な金属間化合物が生成されてしまう等の問題点があります。その対策として、レーザを熱源に用いたフラックスレスなレーザブレイジングが注目されています。ここでは、アルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼におけるレーザブレイジング技術の開発事例をご紹介いたします。

実験方法

亜鉛メッキ鋼の表面にアルミニウム合金を配置し、全体を15°傾斜させて重ね隅肉部をレーザろう付けしました。タンデムビームには、予熱ビーム(定格出力:500W)と主ビーム(定格出力:2 kW)を用い、両レーザ出力および予熱ビーム照射位置(重ねルート部から亜鉛メッキ鋼板側へのずらし距離:下図(b))を変化させています。

一方,ろう付継手の機械的特性は、下図(c)に示す試験片を用いて、常温引張せん断試験により評価しています。継手強さは破断荷重を試験片幅で除いた値とし、引張速度は1.0 mm/minとしました。

(a)タンデムビームによる重ねろう付け方法

(b)両レーザ出力および予熱ビーム照射位置

(c)引張せん断試験の試験片幅

解析モデル

上述の解析条件により、アルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼のレーザブレージング過程における溶融ろう材のぬれ・流れ挙動をFLOW-3Dを用いて溶接解析を行いました。

【解析条件】

  • ろう材 : BA4047
  • 母材 : アルミニウム合金(AA6022)・亜鉛メッキ鋼(SCGA270,GI70)
    ※母材平衡接触角 : アルミニウム合金(AA6022) 65°
               亜鉛メッキ鋼(SCGA270,GI70) 2°

アルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼のレーザブレージング 過程における溶融ろう材のぬれ・流れ挙動解析モデル

解析に用いた予熱温度分布

実験結果と解析結果の比較

不均一な温度分布が生成され、表面張力や接触角を考慮することで、濡れ拡がりが再現されました。

GA鋼およびGI鋼継手のビード形成状況に及ぼす 予熱ビーム出力の影響

GA鋼継手に対する予熱ビーム出力 および照射位置を変化させた場合の溶融ろう材の ぬれ・拡がり挙動解析結果

GA鋼とGI鋼継手の溶融ろう材のぬれ・ 流れ挙動比較
(主ビーム出力:1000W)

まとめ

実験結果とFLOW-3Dによる溶接解析結果が良く一致し、数値解析によりビード形成挙動を高精度で予測できることが確認されました。

【参考文献】

国立大学法人大阪大学, 才田 一幸,大西 春樹,西本 和俊『タンデムビームによるアルミニウム合金と亜鉛メッキ鋼のフラックスレス・レーザブレージング-レーザブレージングによるアルミニウム合金と鉄鋼材料の異材接合-』