オシレーションレーザ溶接

レーザ光を高周波で細かく移動させること(オシレーション/揺動)で、接合不良などを低減するオシレーションレーザ溶接が注目されています。ここでは通常のレーザ溶接とオシレーション溶接について、実験とFLOW-3DFLOW-3D WELDによる検証解析を行いました。

通常のレーザ溶接

レーザ溶接においてポロシティを減少させるためには、溶接速度をより高速に設定することが望まれます。以下の2ケースの解析を行い、溶接速度の影響について考察しました。

ケースA:低速条件

ケースB:高速条件

キーホール内部における照射位置

ケースA:低速時においてレーザが後方のキーホール壁面上へ照射され、キーホール崩壊が生じ溶融池の乱流が悪化します。

ケースB:高速時においてレーザが前方のキーホール壁面上に照射され、高温流体が集中します。

 溶融池の特性

ケースA:低速時には溶融池の内部に強い渦流れが生じ、キーホールが閉じる傾向にあります。

ケースB:溶融池が長くなるため、高速時には渦流れが生じません。

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_高速でのポロシティ現象メカニズム

高速時は低速時と比べキーホールが安定し、ポロシティが減少することが分かります。一方で、高速レーザ溶接にも以下のような問題点があります。

• ジョイント幅が狭いため、接合ギャップ条件の許容範囲が小さくなる

• レーザをoffにした際の大きな終点の凹み

• 高速により溶け込みが不充分

• 利用可能なレーザ出力に制限 6kW)

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_通常のレーザ溶接

オシレーションレーザ溶接

オシレーション(揺動)を伴うレーザラップ溶接の特徴

• キーホールの崩壊を防ぐ高速スキャンが可能

*ポロシティの最小化

• 接合面のジョイント幅を調整する際に柔軟に対応

オシレーションレーザ溶接の利点

•  製品における性能や外観の改良

•  初回の品質への要求; 欠陥の減少

•  性能への要求を満足する、適合した溶接形状

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_利点

オシレーション溶接: 実験結果

母材を上下に重ねた溶接において、オシレーションの有無による実験結果の相違を確認しました。2ケース(左、中央)はオシレーション無し、1ケース()はオシレーションを伴う実験結果です。オシレーション無しの場合は両ケース共に溶接断面上でポロシティが散見されますが、オシレーション有りの場合はポロシティが確認されず、良好に溶接されています。

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_実験結果

オシレーション溶接: 検証解析結果

上下に重ねた段差を有する母材にレーザを照射し溶接するモデルで検証解析を行いました。溶接条件は、オシレーションの周波数;25Hz、振幅;1mm、レーザ出力;4kW、溶接速度;500mm/sで、上側の母材表面にフォーカスしました。

溶融領域

XY断面を比較すると、計算結果と実験が概ね一致していることが確認されました。

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_検証解析結果
溶接接合_オシレーションレーザ溶接_検証解析結果2

1周期におけるキーホール動力学

オシレーションの有無による溶接プロセスの相違を検証し、それぞれ以下の内容が確認されました。

• オシレーション無し

*一貫した伝導もしくはキーホール溶接が形成されます。

• オシレーション有り

*  1周期の間に熱伝導溶接~浅いキーホール溶接~深いキーホール溶接に推移します。これらの挙動は溶接線とオシレーションのパターンに依存します。

溶接接合_オシレーションレーザ溶接_キーホール動力学

まとめ

• 通常のレーザ溶接とオシレーションレーザ溶接について、実験と数値解析を行いました。

• 実験ではオシレーション溶接はポロシティが少なく良好な結果が得られています。

FLOW-3DFLOW-3D WELDによる解析は、オシレーション溶接について実験と良い一致が見られました。

•キーホールの動特性等の詳細解析がメカニズムの理解に繋がります。

【参考文献】

Runqi Lin, Hui-ping Wang, Fenggui Lu, Joshua Solomon, Blair E. Carlson, Numerical study of keyhole dynamics and keyhole-induced porosity formation in remote laser welding of Al alloys, International Journal of Heat and Mass Transfer 108 (2017) 244–256, Available online December 2016.